FIFA ワールドカップ 2026 ブラジル代表|南米の雄が世界最多優勝を狙う

FIFA ワールドカップ 2026 ブラジル代表

FIFA ワールドカップ 2026 ブラジル代表は、2026年6月11日から7月19日にかけてカナダ・アメリカ合衆国・メキシコの3カ国共催で開催されるFIFA ワールドカップ 2026に臨むブラジルのサッカーナショナルチームである。「セレソン」の愛称で知られるブラジルは、ワールドカップ史上最多5回(1958・1962・1970・1994・2002年)の優勝を誇る「サッカー王国」として世界に君臨してきた。今大会はグループCに振り分けられ、モロッコ・ハイチ・スコットランドと同居。イタリア人のカルロ・アンチェロッティを初の外国人監督に迎え、2002年日韓大会以来24年ぶりとなる史上最多6度目の世界制覇を目指す。

南米予選の苦闘

2023年9月から始まった南米ワールドカップ予選において、ブラジルは歴史的な苦戦を強いられた。全18試合で8勝4分6敗という成績は、1998年の現行方式導入以降で最悪の記録であり、上位6カ国が自動出場権を得る枠内の5位でのかろうじての通過となった。ウルグアイ・コロンビア・アルゼンチンに3連敗を喫した時期には本大会出場さえ危ぶまれた。ライバルの首位アルゼンチンには勝ち点で10差をつけられ、もし出場枠が前大会と同じ「4.5」のままであれば大陸間プレーオフへ回っていたと指摘されている。監督も予選期間中に3人が入れ替わり、フェルナンド・ジニス(2勝1分3敗)・ドリヴァウ・ジュニオール(4勝2分2敗)の不振を経て、2025年5月末にカルロ・アンチェロッティが就任。アンチェロッティ体制では予選最後の4試合で2勝1分1敗を記録し、本大会出場権を確保した。

アンチェロッティ体制の発足

ブラジルサッカー連盟(CBF)が招聘したカルロ・アンチェロッティは、ACミラン・チェルシー・レアル・マドリード・バイエルン・ミュンヘンなど欧州5大リーグを代表するクラブを優勝に導き、UEFAチャンピオンズリーグを4度制した現代サッカー屈指の名将である。ブラジル代表においては初の外国人監督であり、その就任は国内外で大きな注目を集めた。戦術的には固定した1システムに縛られない柔軟性が特徴で、強化試合4試合においても4-4-2・4-2-3-1・4-3-3・3-2-4-1と全試合で異なるシステムを採用。個の才能に依存していた従来のブラジルスタイルから、守備の配置と奪ったあとのトランジションを重視した「チームで勝つ」フットボールへの転換を進めている。「攻撃の派手さよりも守備の置き方」を重視するアンチェロッティの哲学が、セレソンに新しい風を吹き込んでいる。

招集メンバー26名

ブラジルサッカー連盟は2026年5月18日にW杯本大会の招集メンバー26名を発表した。最大のサプライズは、2023年10月以来2年7カ月にわたって代表から遠ざかっていたネイマール(サントス)の選出である。左膝の大怪我から完全回復には至っていないとの見方もあったが、アンチェロッティ監督は「彼の豊富な経験はチーム全体にとって有益だ」として招集を決断。自身4度目のワールドカップへの出場が実現した。一方で、なお実戦復帰できていない状況もあり国内メディアからは批判の声も上がった。また、大会直前の6月6日には当初選出されていたDFウェズレイ(ローマ)が練習中に負傷離脱し、MFエデルソン(アタランタ)が追加招集されるアクシデントも発生した。

ポジション 選手名 所属クラブ
GK アリソン・ベッカー リバプール(イングランド)
GK エデルソン・モラエス フェネルバフチェ(トルコ)
GK ウェベルトン グレミオ(ブラジル)
DF マルキーニョス パリSG(フランス)
DF グレイソン・ブレーメル ユベントス(イタリア)
DF ガブリエル・マガリャンイス アーセナル(イングランド)
DF アレックス・サンドロ フラメンゴ(ブラジル)
DF ダニーロ フラメンゴ(ブラジル)
DF ドグラス・サントス ゼニト(ロシア)
DF ロジェール・イバニェス アル・アハリ(サウジアラビア)
DF レオ・ペレイラ フラメンゴ(ブラジル)
MF ブルーノ・ギマランイス ニューカッスル(イングランド)
MF カゼミーロ マンチェスター・U(イングランド)
MF ダニーロ ボタフォゴ(ブラジル)
MF ファビーニョ アル・イテハド(サウジアラビア)
MF ルーカス・パケタ フラメンゴ(ブラジル)
FW ビニシウス・ジュニオール レアル・マドリード(スペイン)
FW ラフィーニャ バルセロナ(スペイン)
FW ネイマール サントス(ブラジル)
FW エンドリッキ リヨン(フランス)
FW ガブリエル・マルティネッリ アーセナル(イングランド)
FW イゴーリ・チアゴ ブレントフォード(イングランド)
FW ルイス・エンヒキ ゼニト(ロシア)
FW マテウス・クーニャ マンチェスター・U(イングランド)
FW ラヤン ボーンマス(イングランド)
FW エデルソン(MF追加) アタランタ(イタリア)

注目選手

攻撃の絶対的な軸として君臨するのがビニシウス・ジュニオール(レアル・マドリード)である。25歳で迎える今大会は選手としての全盛期に重なり、左サイドを縦横無尽に切り裂く爆発的なドリブルと決定力は現役トップクラスの評価を受ける。南米予選のコロンビア戦では後半アディショナルタイムに約25メートルのミドルシュートを決めてチームを救うなど、大舞台での勝負強さを示してきた。今シーズンはラ・リーガ36試合で16ゴール6アシスト、チャンピオンズリーグでも14試合で5ゴール8アシストをマークし、好調を維持している。グループC第1節モロッコ戦でも1-1の同点弾を叩き込み、大会最初のインパクトを残した。中盤の守備的な支柱としてはカゼミーロ(マンチェスター・ユナイテッド)とブルーノ・ギマランイス(ニューカッスル)が構える。右サイドではラフィーニャ(バルセロナ)が高精度のクロスとゴール前への侵入力で脅威をもたらす。守備の統率役はキャプテンのマルキーニョス(パリSG)が担う。

グループCの戦いと初戦の結果

FIFA ワールドカップ 2026 ブラジル代表はグループCに入り、モロッコ・ハイチ・スコットランドと3試合を戦う。日本時間6月14日に行われた第1節・モロッコ戦では、序盤からモロッコにペースを握られ、前半21分にFWイスマエル・サイバリのチップシュートで先制を許す苦しい展開となった。後半に入ってビニシウス・ジュニオールのゴールで追いついたブラジルは最終的に1-1で引き分け、白星スタートを逃した。グループリーグはその後6月20日にハイチ戦、25日にスコットランド戦を控えており、2連勝での決勝トーナメント進出が求められる。グループCの2位通過チームは、グループFを首位通過した場合の日本代表とラウンド32で対戦する可能性がある。

グループC試合日程

グループCにおけるFIFA ワールドカップ 2026 ブラジル代表の日程(日本時間)は以下のとおりである。第1節モロッコ戦は6月14日7時キックオフ、第2節ハイチ戦は6月20日、第3節スコットランド戦は6月25日となっている。

ブラジルのワールドカップ優勝歴

ブラジルはこれまでのFIFAワールドカップ全大会への出場(皆勤賞)を誇る唯一の国であり、FIFAワールドカップの最多優勝国として世界に知られる。1958年スウェーデン大会での初優勝を皮切りに、1962年チリ大会・1970年メキシコ大会・1994年アメリカ大会・2002年日韓大会の計5回優勝を達成している。特に1970年大会は「史上最強のチーム」とも称されるペレ率いるブラジルが圧倒的な強さで全勝優勝を遂げた。直近の2022年カタール大会では準々決勝でクロアチアにPK戦の末に敗れ、優勝候補ながらグループステージでの盤石な内容に反し早期敗退となった。2026年大会は1994年大会が開催されたアメリカの地が主要舞台であり、32年前の優勝と同じ舞台で頂点を狙うという因縁めいた背景も注目を集めている。

  • 1958年 スウェーデン大会:初優勝(ペレが17歳で大活躍)
  • 1962年 チリ大会:2度目の優勝
  • 1970年 メキシコ大会:3度目の優勝(ペレ・ジャイルジーニョら全7試合無敗)
  • 1994年 アメリカ大会:4度目の優勝(ロマーリオ・ベベット)
  • 2002年 日韓大会:5度目の優勝(ロナウド2ゴールで決勝を制す)

サッカー王国の伝統と課題

「ジンガ(ginga)」と呼ばれる身体全体を使ったリズミカルな動きを基盤とするブラジル独自のフットボールスタイルは、長年にわたって世界のサッカーに大きな影響を与えてきた。しかし近年は欧州クラブサッカーの戦術的高度化が進み、かつてのような圧倒的な個人技だけでは勝てない時代となっている。南米予選での苦戦はその象徴であり、ネイマールの長期離脱による司令塔不在が組織力の低下を招いた。アンチェロッティ体制では、個の打開力を活かしながらも「奪った後の1本目の質」と「カウンターを受けない配置」を徹底するという新しい方向性を打ち出している。ビニシウス・ジュニオールを中心とした若い才能と、カゼミーロやマルキーニョスといったベテランの経験値が融合したとき、「王国」が24年ぶりの頂点に返り咲く可能性は十分にある。

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